元社長秘書(26歳)の知性と品性を高めるブログ

身も心も美しく。知性と品性と教養を身につける365日

今年5冊め、「しゃべれどもしゃべれども」上手くいかない世の中だなあ。

 

 

今年5冊目、読んだ本はこちら。

 

 

佐藤多佳子さんしゃべれどもしゃべれども

 

 

 

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

 

 

 

 

ついつい帯買いしてしまった本なのですが、その帯に書かれているのが、

 

NHK プロフェッショナル で紹介!」

「人前でうまくしゃべれない・・・いわた書店さんオススメ」

本の雑誌が選ぶ年間ベストテン第一位」

と、すごい押されよう!!

 

文庫本なのですが、ビジネスにも役立つのかな?なんて思い購入しました。

 

 

 

そして、本日読了した感想・・・

読めば読むほど面白い!!!素晴らしい作品!!!!です!

 

 

 

 

元版は1997年だそうですが、

いつの時代にも通じる話だあなと思います。

 

 

 

 

話は単純といえば単純です。

 

 

自分に自信がなく、上手く話せないために仕事を失いそうになっている青年。

 

口下手で人を褒めたり喜ばすことができず、恋愛にトラウマを抱えている女性。

 

人から否定されるほどつっかかってしまう、小生意気な少年。

 

人からよく思われようとして自分が出せず、話せなくなってしまう元プロ野球選手。

 

 

それぞれ話すことに対し問題を抱えている4人に、

ひとりの若手噺家が落語を教えていく、というものです。

 

 

最初は上手く喋れるように、とはじめた落語教室ですが、

これがまったくといっていいほどちゃんとしていない。笑

 

 

集まればいつもいい合いだし、だれも打ち解けない、やる気があるのかも分からない・・・

 

 

 

おまけに落語を教える噺家自信も

自分の落語に自信をなくしている・・・と。

 

 

 

けれどこの噺家がすごく良いんです。

 

人間として出来ているというわけではないけれど、

ただ真っすぐで、スパッと行動し、思ったことは何でも口に出す。

 

お節介なところも多いけれど、そこがまたいいところで。

 

 

 

そんな馬鹿正直のような噺家の元にそれぞれ問題を抱えた人たちが集って落語をやる。

仲良くなるでもないけれど、不思議な結束というか、不思議な絆が生まれていく・・

 

 

というストーリーです。

 

 

 

 

 

私は自分が話すのが苦手という意識をもっているからかこの本を手にとったのですが、

そのせいか、登場人物全員の気持ちがとってもよく分かる気がしました。

 

 

みんな変わった問題を抱えていて、

傍から見たらなんでそんなに上手くできないの?と思われるかもしれませんが、

どの人も憎めず、なんとなく共感できて、心情がわかる気がしました 。

 

 

というか、そう思ってしまうほど

人の感情や描写がリアルに上手く書かれているのかもしれません。

 

いつの時代でも誰しもがなんとなく共感できる心情や日常、

これを書くのがすごくうまいな、と思いました。

 

 

 

あとはなんと言っても季節感。

 

1年間のストーリーで書かれているのですが、

季節の描写がすごくいい。

 

 

東京の下町の感じを書きながら、花や木、自然を折々に出し、

少し物寂しいような雰囲気で季節を表現すところが

とてもいいなと思いました。

 

 

 

 

 

 お話は現実の私達を切り取ったかのようで、

ハッピーエンドというわけでなく

これからも続いていく物語として書かれていて、そこもまた良かったです。

 

 

 

 

話すことにしろ、他のことでも、

上手くいかないのって、自分の中の自信とかほんのちょっとのことが足りないだけなんですよね。

 

 

このちょっとのことが難しくて。

 

 

ちょっとやそっとじゃ変わらない。

 

 

 けれど、案外ひょんなきっかけで変わることもあったり。

 

 

だから、諦めてはいけない。

 

 

その時がくるまで何かしていれば

何かのはずみできっかけが舞い降りた時にちゃんと自信がついて変われるようになることもある。

 

 

 

なかなか上手くいかない人生の中でも、

 希望を捨てずに自分と向き合かなきゃですね。

 

 

そんなメッセージのようなものを感じられた1冊でした。